犬のアトピーなどのアレルギー性皮膚炎のかゆみを抑える薬「アポキル錠」を導入しました
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犬の皮膚病でも使用されるステロイドと同等の作用を持ち、比較的短時間で効果が認められ、副作用も少なく使用できる「アポキル錠」が当院から処方できるようになりました。
これまでかゆみのコントロールのために抗ヒスタミン薬やステロイド薬を使用していたわんちゃんや、ステロイドの副作用が心配で投薬していなかったわんちゃん、長期的に皮膚炎が治りにくく薬の減量が難しいわんちゃんには、新しい選択肢としてオススメできます。
他の病院でも治療法について副作用などの心配があるワンちゃんについては、ぜひ当院で一度診察を受けていただき、外部寄生虫や食物アレルギーなどの基礎疾患を精査し、その上でアポキルを含めた内科療法やシャンプー、食事療法を組み合わせた治療を受けていただきたいと思います。犬の新しい食事アレルギー検査も可能ですので、ご相談ください。
3月に入り、少しずつ気温も上がり始めた頃に必要になるのが
「ノミ・マダニの予防」です。
今回はノミとマダニの効果的な予防方法についてお話したいと思います。
「どのような薬を選ぶか」
これまでの予防薬は滴下薬が主流で、首の後ろにつけるタイプが多く利用されてきました。比較的おとなしいペットに対しては飲ませる必要もなく、ただ滴下するだけでノミやマダニを1ヶ月程度予防することができます。最近では食べるタイプの予防薬が人気で、おやつ感覚で美味しく与えることができます。食べるタイプは、シャンプー後にもすぐに与えることができます。食べるタイプ、滴下タイプそれぞれ長所がありますので、飼育環境や皮膚の状態などから選択されると良いと思います。
「いつからいつまで予防すれば良い?」
当院のおすすめ開始時期は3月からです。理想的には一年間通して予防すると確実です。一般的には暖かい時期と言われていましたが、当院周辺の地域では外猫さんが多く、さらに河川地域なのでノミやマダニの発生が他地域より多く認められるようです。冬場に来院されるペットにもノミが見つかるケースも多くなっています。ではなぜノミが真冬にも見られるのでしょうか。おそらく現在ではほとんどが室内飼いなので、室温が13℃を超えてノミの活動が活発になるためと考えられています。ペットとの接触が多い場合、トリミング・ドッグラン・ペットホテルを利用する場合などは必ずノミとマダニの予防を行うことが大切だと思われます。
「新しいノミ・マダニ予防薬が登場」
・3ヶ月効果が持続する予防薬「ブラベクト錠」
・フィラリアと一緒に予防できる「ネクスガードスペクトラ」
・猫にも有効なフィラリア➕ノミマダニ予防滴下薬「レボリューション」
これらのように、いままでは単剤で予防していたものを、2種以上合わせた複合予防薬が現在は主流となっています。適切な予防を行わないと、寄生虫による病気を引き起こしてペットに悪影響を及ぼす恐れがあります。しかしながら現在ではほとんどが適切に予防できるため、毎年の確実な予防スケジュールを病院で相談してください。
「てんかんとは?」
発作的に繰り返される痙攣や意識障害を起こす疾患で、全身性のけいれんを起こすものから、手足の小さな震えだけを起こすものまで様々な症状を引き起こします。てんかんには真性てんかんと、病気の一症状としての症候性てんかんなどに分類されます。犬種的にはダックス、ビーグル、プードル、シェットランドシープドッグなどに遺伝的素因を持っていることが知られています。
「症状は?」
全般発作では流涎、不安、落ち着きのなさなどを前兆として、手足の硬直を起こして倒れる場合や、横になったまま泳ぐような遊泳運動が見られることがあります。この時、失禁や排便をすることもあります。発作は多い場合で数秒から数分で治り、終わるとけろっとしています。部分発作では、全般発作のような全身症状が見られず、右手だけとか、顔だけなどの硬直、大量のよだれなどを示すことがあります。一旦落ち着いた後に再び発作を起こすこともあり、その場合は命に関わることもあります(重積発作)。
「症状が出た場合はどうする?」
初回の発作の場合、重篤でなければ経過を観察するように指示しています。発作が起こる前にどのようなことがあったか、発作の持続時間、発作の様子、発作の後すぐに正常に戻るかなどを観察していただきます。1日に2回以上の発作や、1ヶ月に2回以上の発作を起こす場合は検査・投薬治療となります。一般的には身体検査、神経学的検査、血液検査を行い、抗てんかん薬の投与を行います。内服に反応しない場合、徐々に悪化する場合は薬物の変更またはMRI検査を実施することもあります。症候性てんかんが疑われる場合は原疾患の治療を並行して行います。
「通常の特発性てんかんではなかった実例」
① てんかん様の発作を頻発していたため、抗てんかん薬の投与を行うも改善せず。当院で超音波検査と心電図検査を実施したところ、重度房室ブロックと診断された。大学病院への紹介と早期のペースメーカー設置により発作は速やかに改善した。
② てんかんと診断され、抗てんかん剤の投与で抑えられていたが、徐々に発作の回数が増えた。当院からMRI検査を指示したところ、肉芽腫性壊死性脳炎と診断された。ステロイドの併用にて治療を行ったところ、発作の回数を抑えることができた。
③ 間欠的な部分発作と震えのため、他院でてんかんと診断され内服薬の投与をしていたが改善せず。当院で行った神経学的検査の結果、頸部椎間板ヘルニアの疑いがあったため、MRI検査を実施したところ、検査前診断と合致したため、内服の変更を行い、症状は速やかに改善された。(高齢のため専門医とご家族の間での相談の結果、手術は実施せず)
以上のように、単純なてんかんと診断されても、実際には別の疾患が隠れている可能性も高い疾患です。正しい診断を行うことで、症状を上手に緩和することもできます。もしも大切なペットにこのような症状が見られた場合はすぐに動物病院で診てもらいましょう。
現在、当病院が入居しているマンションにて外壁工事が行われています。その際、病院入り口付近に足場がありますので、来院された方にはご迷惑をおかけしております。
病院は工事と関係なく、通常通り診療を行なっております。自転車など、置き場所に不明な点がありましたらスタッフまでご相談ください。
かめやまペットクリニック
今回は外耳炎について、具体的な例をあげながら説明していきます。
「外耳炎の症状は?」
普段から耳をよく掻く、耳の中がいつもと違って臭い、突然耳を痒がり出した…。これらの症状が見られたら外耳炎の可能性が高いです。外耳炎は犬に多い病気ですが、猫にも見られることがあります。爪でかきむしるために耳の入り口が真っ赤に腫れ上がり、放っておくと耳の中が腫れて元に戻らなくなります。
「そのような症状が見られた場合」
自宅で掃除をしている場合はできるだけいじらないようにして病院で診察を受けましょう。耳鏡という特殊な器具で耳の穴を観察し、適切に掃除をします。必要であれば耳毛抜きをする場合や耳洗浄を行います。症状がひどい場合は外耳炎専用の点耳薬を投与します。
「その後はどうする?」
多くの外耳炎は内服薬や点耳薬で治りますが、再発することが多く、定期的な耳のチェックが必要になるでしょう。治りにくい場合は食事や環境アレルギーが関係することがあります。匂いが強い場合は耳垢の検査をしましょう。
「実際の事例」
・難治外耳炎だったが、食事を変えたところ劇的に良くなった。
・他院で長期に抗生剤、ステロイドの内服をしていたが、実際は耳ダニであった。耳ダニ駆除薬の投与で完治した。
・足先をよく舐め、耳垢の匂いが強いので検査をしたらマラセチアという真菌であった。耳を掻く後ろ足にも感染してマラセチア皮膚炎を起こしていた。抗真菌薬の投与でどちらも改善した。
「自宅での掃除
」
毎日は行なってはいけません。1週間から2週間に一回で充分です。やりすぎは耳の中を痛め、さらに耳垢を増やすことになります。綿棒は使わない方が良いでしょう。ガーゼやコットンにイヤークリーナー(市販のものか、病院で購入)を含ませ、指が入るところまでを軽く拭き取りましょう。汚れが多い場合、嫌がる場合は遠慮なく病院に連れてきてください。